中国自動車道は開通50周年を迎え、抜本的なリニューアル工事が必要です。
工事情報・進捗工事を計画的に、工夫しながら進めていきます。




中国自動車道は開通50周年を迎え、抜本的なリニューアル工事が必要です。
中国自動車道は、関西都市圏における創生期の高速道路として、日本万国博覧会(大阪万博)が開催された1970年から順次開通していきました。1983年には、大阪府の吹田JCTから山口県の下関ICまでが全線開通し、関門橋を介して関西と九州が初めて高速道路で結ばれました。
中国自動車道などの高速道路は、人々の移動の利便性向上や物流、産業の発展に貢献するとともに、災害発生時の緊急輸送路として機能するなど、みなさまの暮らしや経済に欠かせない大動脈としてその役割を果たしています。
中国自動車道などの高速道路では、モータリゼーションの発展に伴い大型車交通が増加するとともに、規制緩和により車両の総重量が増加する傾向にあります。また、冬のスリップ事故を防止する目的で路面に散布する凍結防止剤(塩化ナトリウム)による塩害も発生するなど、高速道路は過酷な環境に置かれ、ひそかに悲鳴を上げています。
中国自動車道の橋では、大型車の長年に渡る繰り返しの走行などにより疲労が蓄積し、鉄筋コンクリート床版(RC床版)にひび割れが、鋼製の桁にき裂が生じるなど損傷が進んでいます。さらに路面に散布した凍結防止剤を含む水分がRC床版のひび割れから内部に侵入し、鉄筋の腐食、コンクリートの脆弱化が進んでいます。
これまでも、定期的に点検を行いながら部分的な補修、補強を繰り返してきましたが、構造物の長期的な安全性や耐久性の確保が困難になりつつあります。
そこで抜本的なリニューアル工事を行うことで、これまでより耐久性のある安全・安心な道路へと生まれ変わります。
橋やトンネル、のり面などの道路構造物を対象に、長期的な安全性や耐久性を確保することを目的として、耐久性に優れた部材への取り替えや補強などを大規模に行います。橋桁や床版など路面を支える主要な部材を取り替える際は、これまでの工事よりも長期間、大規模な交通規制が必要になる場合があります。
高速道路の路面を支える床版は、従来は「鉄筋コンクリート床版(RC床版)」が一般的に用いられてきましたが、リニューアル工事では耐久性に優れる「PC床版」などに取り替えます。PC床版は、RC床版の弱点であるひび割れを抑制する特徴があります。リニューアル工事では、工場で製作したPC床版(プレキャストPC床版)を採用することで、工事期間を短縮します。
リニューアル工事では、PC床版での架け替えが一般的ですが、交差道路や工事期間など架け替え環境に制約がある箇所に限り、コンクリートを使わずに鋼板だけで組み立てた「鋼床版」を採用しています。なお、鋼床版の疲労耐久性を高めるため、縦リブと横リブとの交差部を全周溶接し疲労き裂の発生を抑制しています。(平リブ全周溶接構造の採用)
更新する橋の延長
4.8km規制形態
終日通行止めこの区間は架け替える橋が非常に多いことから、車線規制による工事では非常に長い期間の交通規制が必要となるため、広い工事ヤードが確保でき、多数の建設機械を配置して集中的に工事を行うことが可能な終日通行止め方式にて工事を行います。一定期間終日通行止めにして集中的に工事を行うことで、工事期間を大幅に短縮できます。
高速道路上に並べた大型クレーン車で、損傷した橋桁や床版を撤去し新たな橋を架けます。
既設の橋桁やコンクリート床板をカッター等で切断し、クレーンで吊り上げて撤去します。
新たな橋桁や床板を、クレーンで順次架設します。
あらかじめ既設橋の下で橋桁や床版を組み立て、損傷した橋を撤去した後にジャッキで持ち上げて架けます。
高架下で橋桁・床板を組み立て、大型ジャッキで途中の高さまで持ち上げます。
既設の橋桁やコンクリート床版をカッター等で切断し、クレーンで吊り上げて撤去します。
大型ジャッキで所定の高さまで持ち上げ、継ぎ目の橋桁・床版をクレーンで架設します。
施工環境に応じてこれらの工法を使い分けて、
安全かつ効率的に工事を進めます。
更新する橋の延長
3.6km規制形態
終日車線規制この区間は上下線合わせて6車線ある幅の広い道路であるため、4車線の通行帯を確保しながら、3段階に分けて工事を行います。
工事前
STEP1中央分離帯更新工事
STEP2上り線側更新工事
STEP3修繕工事
STEP4下り線側更新工事
STEP5中央分離帯復旧工事
※橋梁部のコンクリート床版の劣化を抑制するための床版防水工事等の作業を引き続き交通規制により実施しています。
工事区域に大型クレーン車を配置して、橋の架け替えを行います。なお、伊丹空港の離発着区域に近い箇所では、クレーンの高さに制限があるため、特別に製作する門型クレーンを用いて工事を行います。
この区間では工事期間が長期に及ぶため、交通量が特に多くなる交通混雑期(年末年始、ゴールデンウイーク、お盆)には、一旦、交通規制を解除し4車線から6車線に車線数を戻します。その際、防護柵を迅速に移動させることが可能な新たな技術※を導入し、交通規制の実施、解除に要する期間の短縮化を図ります。
ロードジッパーシステム・・・LINDZAY社(アメリカ)が開発、製造、販売しているシステムで、コンクリート製の仮設防護柵を専用車で移動・設置するものです。国内の高速道路で採用例が増えています。更新する橋の延長
1.0km規制形態
終日車線規制(一部区間)この区間は、吹田JCT〜神戸JCTの区間で一番交通量が多く、通行止めを実施した場合は交通渋滞等の社会的影響が非常に大きいため、終日車線規制により床版取替等の工事を行います。有馬川橋の施工では、交通量が多い昼間と交通量が少なくなる夜間で車線規制を切り替えて架け替え工事を行います。